寺脇扶美 たとえば、オレンジ色の窓のように。
2026年3月31日(火)〜4月25日(土) 13:00〜18:00 (日・月休み)
ヴァルールISSHA(名古屋)

寒い夜に、暗い夜に、オレンジ色に光る家の窓明かりを見て安堵することがある。そこに人
の営みや生活が想像されるからだ。
人生でスポットライトが当たる日は「ハレ」の日だ。しかしながら、ほとんどの日は「ケ」
であり、その無数の日々の生活こそが人生の実態だ。私の生活もまた、単調で凡庸なルーティ
ンの積み重ねでできている。
今回の制作では、日々の営みと同じように反復作業の積み重ねを試みた。一筆一筆の繰り返
しの中にも揺らぎがある。それは、計画通りにいかない煩わしさや、身体や気分の不調、整
理できない心といった、生活のノイズのようなものだ。
こうした非合理なものたちに半ば支配されながらも、私たちの毎日は動いていく。生活とい
う大きな器は、合理も非合理もある混沌とした営みすべてを引き受ける。その些細な重なり
が、いつしかその人の人生という固有の輪郭を形作っていくのだろう。
描き出された絵具の層に、その反復の集積のなかに、生きていくための静かな肯定があるこ
とを願っている。
たとえば、あの寒い夜に見上げた、オレンジ色の窓のように。
