西原彩香 夜の寝覚、昼の憂鬱。
2026年8月25日(火)〜9月19日(土) 13:00~18:00 (日・月休み)

私はこれまで、絵画の重さに対して、それを軽くすることを試みてきました。
本展では、その軽さを手放すのではなく引き受けながら、重さと軽さのあいだにとどまる状態を探っています。
これまで一貫して、光によって生じる、物と像のあいだのゆらぎに関心を向けてきました。
ここで扱う像は、固定されたものではなく、条件や環境によってあらわれるものとして捉えています。
本展では、ボーダーの描画の過程で像が立ち上がる絵画を起点としています。描いて止めることやドットを打つことで、像は条件に応じてあらわれ、見る位置や距離によって見え方が変わります。
これらの作品は、複数の他者の生活空間に配置され、その場所や向き、距離といった違いをもとに展示空間へと再構成されています。像は画面の中だけでなく、環境や他者との関係の中で、その立ち上がり方を変えながらあらわれます。
また、テキスト『夜の寝覚、昼の憂鬱』を通して、像の背後にある時間や意識の層も重ねています。そこでは、個人的な経験と結びついた像の不確かさが、言葉としてもあらわれています。
別室では、キャンバスとビニールによる新作を展開しています。極薄の奥行きの中で、色や線が重なり合い、像は立ち上がろうとしながらも定着せず、ゆらぎながら保たれています。
私は、絵画が持つ歴史や物質としての重さを引き受けつつ、それを少し軽くずらすことで、像がはっきり決まらないまま続いていく状態を試みています。重さと軽さ、手前と奥、見えるものと見えないもののあいだにとどまり続けること。
それは、現代における生のあり方とも接続していると考えています。
像は完成するのではなく、ゆらぎながら立ち上がり続けます。
作品リスト
