工藤 千紘 「どうしようもなく、光る」
2023.10/10〜11/4
– artist statement –
錆や、枯れ葉や傾いた家が、美しいと思えるのは
その積み重なった痕跡にときめき、共感するからだろう。
どうしようもないかもしれない、
そんなものたちが様々な物事を色鮮やかに思い出させてくれる。
今年春頃から視覚的な情報よりも言葉から発想するほうが、
人を思い出す行為に近く情報量も多くなると感じ、
見かけたものを言葉に置き換えてメモするようになった。
そして言葉から描かれた存在は、人らしくもあり、
どこかその「背景」が誇張されるようにもなってきた。
そうした作業を続けているうちに、
本当に人を思う時、それは人を思い出そうとする時よりも、
ふと懐かしい景色や、音に触れた時だと気づいた。
身近な言葉から、形から、色から、
人の温もりを感じられるような作品が作れたら、
自然とどこかの誰かと共感し繋がれると思う。
老若男女を超えてただの「人」という存在、
争いのない優しい「生」の存在を描けたらと思っている。